おっさんがアドベンチャーバイクを愛でる記録

KTM降りました。今は塩ビ管色のX-ADV('21)と白いADV150を愛でてます。

<考察>SSTRというイベント

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SSTR2022というイベントに参加して2週間くらいが経ちました。っていうか、まだ2週間しか経っていないんですね。能登半島から帰ってきてからもGO/STでまた走っていたので、感覚的には何だかだいぶ前のような気がしています。
さて、諸々落ち着いてきたので、ここで当初の目的であるSSTRを少し考えてみようと思います(長いです)。

SSTRという有料ツーリングイベント

SSTRというイベント自体はだいぶ前から耳にしていましたが、参加は今回の2022年が初めてです。もう10周年なんですね。
冒頭に若干トゲのある書き方をしていますが、私はもともとSSTRを「なぜか主催者にわざわざお金を払って走るツーリング」だと思っていました。
というのも、関東から千里浜まで、走ろうと思ったらいつでも走れます。何もエントリーフィーを誰かに払う必要はありません。払うのは高速道路の料金とガソリン代だけでいいんです。エントリーフィーとして拠出する12,000円の原資があれば、高速料金とガソリン代の大半を賄うことが出来ますね。
じゃぁなぜ参加者は通常不要なエントリーフィーをわざわざ支払ってまでSSTRに参加するのだろうか。どうしてもわからないので、今回SSTR2022に参加したのです。SSTRというイベントにはなにがあるのか。

SNSでSSTRが話題に上がると「SSTRなんて風間にお布施するイベントだろwチョロいシステムを考えたもんだわw」という声が聞えてきます。そういう声の発信者は当然SSTRにお布施をしたことがない人です。お布施とか言い方は悪いですが、基本的には私が思っていた疑問と根っこは同じですよね。「なんでわざわざ?」って。でも、お金を払わないで外からヤイヤイ言っている人と、実際にお金を払って満足している人を比べたら、SNSでも断然後者が多いんですよね。だからイベントとして成り立っている。あと、参加しないで文句だけ言っている人の声なんていうのは小さいですからね。対価を払って参加して、初めてSSTRというイベントに言及するだけの声の大きさになるわけです。

エントリーフィーの対価

1.参加賞(モノ)

2022年しかわかりませんが、エントリーした後で必要書類と一緒に郵送で送られてきました。2022年は小さな焚き火台でした。

SSTR特別仕様の焚火台「HIASOBI」についてのご紹介 | SSTR

 

悲しいかな、参加者の手元に届くと同時にメルカリやヤフオクで相次いで出品されていました。高くても2,000円くらいで売られているので、「イベントの記念品を転売」というよりは「なにこれ要らない」という感覚なんだと思います。2021年はコーヒーミルとカップのセットみたいなヤツ(ダイソー価格1,000円で大人気商品)だったので、そっちのほうがまだ需要あったんじゃ、、と思います。
参加賞を主催者が独断で決めるのは当然のことなんですが、「なんかキャンプブームだからこれでいいだろ」「バイク乗りといえばキャンプ」的な感じがして、これは見た瞬間に超絶ガッカリしました。ちなみに私は20数年来のキャンプ好きですが、今ではバイクでわざわざ行くことはしないので、小さな焚き火台は貰っても使い道がなく、、残念ですが置いておいても邪魔なので届いた翌日に・・。

2.ゼッケン(モノ)

バイクイベント参加者の特権、スクリーンに輝くゼッケンステッカー。これが欲しくてSSTRに申し込んでいる人もいるんじゃないでしょうか。

バイクに乗るからにはイベントに出てみたい。自分のバイクにもゼッケンを貼ってみたい。でもスピードなんか出したくないし、誰かと競って順位がつくイベントなんか興味ない。そういう人にはSSTRのようなイベントは絶好のチャンスです。

3.エントラント同士の一体感(プライスレス)

開催weekともなれば、数千人が同じゼッケンを貼って千里浜へとバイクを走らせるのです。当然道中では同じイベントのエントラントと出会うでしょうし、すれ違うこともあるでしょう。バイク乗りの中でもツーリングライダーはピースサイン、今はヤエーっていうんですかね、それが好きですよね。ヤエーの相手にも同じステッカー貼ってあったら一体感が醸成されるのは至極当然。
これは私も走っていて思いましたが、SSTRゼッケンを貼っているバイクとスライドしたときのピースは、なんというか結構気持ちが盛り上がるのは間違いないです。例えば自分がマイナーバイクに乗っていて、それと同じバイクとスライドしたときと同じ気分です。「お!!」っていう。久しぶりに全力でピースしましたもん。笑

4.イベントとの一体感(プライスレス)

普通のツーリングだと、例えば千里浜が目的地だったとして、浜に着いたらそこで写真撮ってオシマイですよね。目的地に着いたんだし。
SSTRの場合、その後に「ゴール」というイベントが待っています。ゴールゲートに近づくとプロのカメラマンが写真を撮ってくれたり、地元の関係者が手を降って出迎えてくれます。これ凄いんですよ、最初から最後までざっと200m以上じゃないですかね。おじちゃんだったり、おばちゃんだったりが「お疲れー」とか「おかえりー」とか「おめでとー」とか色々言いながら手を降って出迎えてくれるんですよ。

それが出迎える人達のミッションだとしても、そんな感じを微塵も見せないで、ホスピタリティが凄いです。手厚すぎて逆にこっちが小っ恥ずかしくなるくらい。笑
ゴール以外にも、道の駅で「SSTRライダー歓迎」みたいなところがあったり、色々とイベントのホスピタリティが凄いなと思いました。

5.ツーリングラリーの楽しみ(プライスレス)

SSTRは「SSTRシステム」というWEBサイトを使って、日の出からゴールまでを一元管理していますが、基本的にSSTRはポイント積み上げ式のスタンプラリーです。毎年若干のルールが変わるようで、2022年は「ゴールまでに15ポイント以上を得ること」でした。
ポイントの内訳ですが基本的には「高速道路のPA/SAは1ポイント」「道の駅は2ポイント」「各都道府県に1箇所だけある指定道の駅は3ポイント」「太平洋側のメジャーな先っちょ(岬)は3ポイント」って感じです。ポイントに到着するとスマホでSSTRシステムにアクセスして、スマホGPS位置情報と連動して地点登録→ポイントをGETするといった流れです。
ただ淡々と目的地に向かって走る、観光しながら走る、だけでなく停まった場所で「ポイントを貯める」というゲーミフィケーション要素を持たせる、これもSSTRだと思います。ライダーに走りっぱなしを許さず、強制的に休憩させる、休憩先でお金を使って地域貢献させる、うまいこと考えているなぁと思います。

6.完走賞(モノ)

ゴールして、千里浜の受付でゴール登録をすると完走賞をもらうことが出来ます(冒頭の写真)。
これはどうやら毎年同じみたいで、フィニッシャーバッヂと呼ばれている完走者ピンバッヂと、ヒノキ?の木の輪切り、あとオリジナルミニトートバッグです。この木の輪切り、めっちゃ良い木の香りがするんですよ。正直どちらも使い道には困っていて、能登から帰ってきて今初めてミニトートから出したんですけど、まぁこんな記念品もあります。

7.地域貢献・地域振興(プライスレス)

開催weekには数千人が道の駅によりながら、千里浜を目指します。千里浜を中心に能登半島における経済効果はどれくらいなのでしょうか。道の駅での飲食・物販の他に、ツーリング後の宿泊利用という観点からの貢献もあると思います。それ以外にも、年々侵食が進んで浜が減ってしまっている「千里浜という観光資源保護」に対する投げ銭効果(SSTRというイベントは収支報告がないので詳細は不明)もあるのでは。

 

一般的には上記の1-6までがエントリーフィー12,000円の直接対価(7は間接対価)ってことになるでしょうか。

向いている人・向かない人

向かない人は、圧倒的に「ツーリングなんぞにお金を払いたくない人」、これに尽きると思います。あとは「ツーリングに諸々制約事項を付与されたくない人」も向かないですね。自由に走りたい、休憩は自分で適当に取る、そんな人はSSTRに出ると人が多い道の駅とかでわざわざ停まらないといけないとか、きっと不満がたまるでしょう。
もう1つ、これが重要ですが「都合のいい天気の日に走りたい人」、これNGです。

SSTRはツーリングイベントですが、あくまでも「ツーリングラリー」です。名前にラリーと付くからには競技であり、DNS/DNF/失格など含め明確なルールがあります。速さや優劣を競わないだけで、れっきとした競技です。日の出とともに走り始める。日の入りまでにゴール登録する。予め決められた日に出走する。全部ルールがあります。

この点で私は入り口から間違えていました。
ツーリングのモチベーションとしてエントリーしましたが、そもそも自由なツーリングじゃないんです。
なので、天候不順で一時期「DNSかなー」なんて書いたりしていたのですが、、

たかだか雨くらいでDNSなんて予め日程が決められた競技に自分からエントリーしたくせに情けないわ、、、と思い直して参加した次第。

とはいえもちろん「DNS」「DNF」という選択肢を取るかどうかはエントラントの裁量に任される範囲なので、悪天候や体調不良などは自分自身で判断して適切な選択肢を取ることが求められますけどね。結果的に参加したから「情けない(キリッ」とか言ってますけど、私も当日翌日がずっと雨だったらやっぱり「ないわー」って思って走ってないと思いますし。

話を戻して。

というわけで向かない人についてはこんな感じ。ツーリングの延長気分でいると「あれ?なんで自分は・・」とか腑に落ちないことが色々出てくると思います。

逆に向いている人というのは、前述の件に該当しない人。なかなか遠くまでバイクで行くことに勇気が出なくて、誰かにケツ蹴飛ばして欲しい人。誰かと何か同じ目的に向かうことで一体感を感じられる人。問答無用で千里浜LOVEな人。こういう人はSSTRに向いていると思います。中でも「誰かにケツ蹴飛ばして欲しい人」には最適かもしれません。同じ目的地に向かって数千人が走ると思うと心強さも人一倍感じられること間違いなし。

SSTRはツーリングではなくツーリングラリーという自己完結型の競技です。そして競技とはいっても速さも順位もないユルい競技です。

これを念頭に入れておくと、「エントリーフィーが」とか「もっと気ままに」とか、そういう根本的な話にはならないでしょう。

2023年SSTRへのリピートはあるのか

諸々踏まえて、私はきっと参加しないと思います。理由はざっくり2点。

1.エントリーフィーの対価が薄い

そのままです。私には対価相当の「刺さるモノ」がありませんでした。もちろん楽しかったのだけど、これなら普通にソロツーリングでいいかな、と。
直接対価としてはミニ焚き火台も要らなかったし、ゴールの歓迎演出もそこまで刺さりませんでした。いや、いいとは思うけれど、私はそれなら宿泊する旅館で「おかえりなさい」で十分満足。
間接対価に関しては趣旨としては概ね賛同できるものの、その収支・経済効果が全く不透明なので判断すらできないというのが大きなマイナス要因。

2.やっぱり天候は選びたい

これもそのままですね。決められた日程で「しゃーない、行くかー」ってのも有りですが、もう若くないんでベストコンディションで走りたいです。笑


というわけで、実際にSSTRを走ってみたら「なるほど、これが10年支持されるイベントか。」っていうのはなんとなく理解出来たし、自分が「向いている側のバイク乗りか」「向いていない側のバイク乗りか」がよくわかったという話でした。

 

最後に。

あれこれ書きましたが、面倒くさいこと言わなかったら、普通に能登ツーリング出来て最高でした。SSTR2023はエントリーしないと思うけど、SSTR2022がつまらなかったと言っているわけではないですし、ゲーミフィケーション要素も楽しませてもらいましたよ。